2021/07/28 09:34
今回はまず始めに、スモックのプロフィールを振り返ってみましょう。
スモックは "一枚の布から作る” "縫い目は裏にあるもの" という重要なルールのもと作られたバッグです。その表現方法としてスモッキングとよばれる刺繍技法を採用しました。
とあるようにスモックは一枚の布を軸に作られています。これってどういうこと?とよく聞かれるので今回はハンドバッグの展開図を用いて説明しようと思います。下の図形がハンドバッグを解体した展開図です。
これを見ても ?? かもしれませんが、この展開図を立体的に組み立てるとハンドバッグになります。この形は風呂敷や折り紙の「パクパク」から着想を得て作りました。ハンドルや裏地があるので正確には一枚ではないですが、ベースとなる本体は必ず一枚の布で作っています。
僕はデザインをする上で特別なルールを設定するのが好きです。それがそのブランドの個性になるから。特別なルールを作りデザインに制限をかけることで、新しい発想は生まれます。またルールはデザインに迷った時の道標にもなります。
なぜこのルールが生まれたかというと、僕は縫製のプロではなく縫製が苦手だったからです。様々なパーツを組み合わせて作るバッグを制作していたときに、どうやったら苦手な縫製を少なく出来るかと考え、最初から一枚に繋がっていたら最低限の縫い合わせ出来るのではないか?と思いついたからです。実際には一枚でつくることで、ありえない縫製が生まれ自分を苦しめる事態になるのも知らずに....。
さらに縫製が終わった後にスモッキングとよばれる生地を摘んで凹凸を出す刺繍を入れるので、それを考えた上で展開図を作らなくてはなりません。摘んだ部分だけが短くなるので注意が必要です。このハンドバッグはモノを入れるとぷっくり丸いフォルムになりますが、何も入れないで畳んだ時は平面になるのも計算された展開図によるものです。
次回はもうひとつのルール "縫い目は裏にあるもの" を解説します。